札幌の初夏は、お祭りの百家争鳴で幕が切って落とされる。
手始めに北大祭へ向かうことにした。ひと駅乗り過ごして、北24條駅を降りた。北大最北端の馬術部をぐるりと廻り、南新川のマックで小休止を取った。この時期の札幌の風物詩と言えば、やはり夏の雪かと思う。ポプラの木から綿毛がふわふわと舞い降りてくる。北大北側にあるポプラ並木あたりは穴場かもしれない。
朝方10時前にもかかわらず、北大祭の会場は人でごった返しだった。ニュースで去年北大祭の人出は12万人近くと、過去最多とのことだった。去年も現地にいた経験から、好天が続くなら、過去最多を塗り変える勢いを肌で感じた。
留学生が切り盛りする御当地屋台が北大祭の目玉に違いない。なかでも中東の屋台でDonerを切り落とすパフォーマンスが見物だった。偶然チアリーダーのパフォーマンスが拝見できたことは、実は北大祭最大の収穫だったと、のちに述懐することになるかもしれない。北大祭の会場を出て、大通り公園のYOSAKOIソーラン祭り会場へ向かった。
実は、お祭りには選り好みが激しい主であり、舞踊系のお祭りには然程興味が持たなかった。一方で、博多祇園山笠、京都祇園祭り、高山祭り、岸和田だんじり祭り、ねぶた祭りなどテーマ性と歴史感が兼ね揃えてあるお祭りには高い関心を示してきた。諏訪の御柱祭や岸和田だんじり祭りのような偶に死人が出るかもしれない合戦風祭りの場合、觀る側も気合入れるからお祭りの一体感が一層高まる。
大通り公園の特設ステージのほか、両側の車道にも出演団体のパフォーマンスが繰り広げられていた。特設会場のアリーナ席は無料にも関わらず、気付かない観客が遠巻きからステージを囲っていた。折角だったから、アリーナ席から演舞を拝見した。
演舞を観ながら思ったことは、YOSAKOIソーラン祭りに出る出演者にとって大舞台に立つ、晴れの場所となるところが伝わってきた。北海道各地から馳せ参じた演舞者の顔が生き生きしていた。演舞者ひとりひとりが主役となるYOSAKOI祭りも、有料席は空席で目立っていた。熱く燃える演舞者と響かない観客との温度差がお祭りの課題となりそうだ。