高台寺

京都東山に佇む高台寺。豊臣秀吉の正室である北政所（ねね様）が、秀吉の冥福を祈るために建立したこの寺院は、いつ訪れても厳かな美しさに満ちています。しかし、その中でも特に人々の心を捉えて離さないのが、春の桜の季節に行われる夜間のライトアップです。 方丈前の波心庭に立つ、たった一本の大きな枝垂れ桜。この一本の桜が、訪れる人々にこれほどの感動を与えることができる寺院は、他にはないでしょう。ライトに照らされたその姿は、まるで夜空に浮かぶ淡いピンク色のベールのようであり、その優雅で力強い枝ぶりは、ねね様の深い想いと、高台寺の歴史そのものを物語っているかのようです。 白砂に描かれた美しい波紋、鮮やかな緑の苔、そしてその中央に堂々と咲き誇る枝垂れ桜。日没後の青みがかった空の下、光を浴びた桜は、昼間とは全く異なる、幽玄で幻想的な美しさを放ちます。特に、水面に映るような光と影の演出は、庭園全体を一つの壮大なアート作品へと昇華させています。 夜の闇と静寂の中に浮かび上がる古建築の美しさ、そしてその前で艶やかに咲く桜のコントノラストは、まさに息をのむ絶景です。この風景は、単に「美しい」という言葉だけでは表現しきれない、心の奥深くに響く感動を与えてくれます。 この写真を見て、少しでも心が動かされた方は、ぜひ一度、桜の季節に高台寺の夜間拝観に足を運んでみてください。ねね様が愛したこの場所で、時を超えて受け継がれる枝垂れ桜の美しさを、ご自身の目で目の当たりにしてほしいと願っています。

鷲峰山 高台寺（こうだいじ）は、阪急 京都河原町駅の南東1.2kmほどの京都市東山区 高台寺下河原町に伽藍を構える臨済宗建仁寺派の寺院です。 開館時間9：00～17：30で、拝観料は大人600円です。 豊臣秀吉の没後、正室の北政所（ねね）は慶長8年（1603年）に後陽成天皇から「高台院」の号を勅賜されると、秀吉の菩提を弔おうと寺院の建立を発願し徳川家康もその建立を支援しました。 慶長10年（1605年）高台院は実母である朝日局が眠る康徳寺をこの地に移転させて新たな寺院・高台寺を建立し、その境内を整えていきました。また、高台院は高台寺の西側に自らの屋敷と甥の木下利房の屋敷を造営することとし、同年に伏見城にあった北政所化粧御殿とその前庭を移築して自らの邸宅・高台院屋敷としました。 慶長11年（1606年）高台寺は曹洞宗の弓箴善彊を開山として完成しました。創建当時の高台寺の仏殿は康徳寺の堂を移築・改造したものですが、方丈や茶室などは伏見城から移築したものでした。 寛永元年（1624年）高台寺は臨済宗建仁寺派の大本山である建仁寺の三江紹益を中興開山に招聘し、曹洞宗から臨済宗に改宗しました。 近世末期から近代に至る数度の火災で仏殿や方丈などを焼失し、創建時の建造物で現存しているのは、三江紹益を祀る「開山堂」、秀吉と高台院を祀る「霊屋（おたまや）」、茶室の「傘亭」と「時雨亭」だけです。 平成10年（1998年）高台寺 掌美術館（しょうびじゅつかん）が開館しました。 『開山堂（国重要文化財）』は、慶長10年（1605年）に高台院により建立され、寛永2年（1625年）に増築されました。 庭園内に建つ入母屋造本瓦葺きの禅宗様の仏堂で、元来、高台院の持仏堂だったもので、その後、中興開山の三江紹益の木像を祀る堂となりました。 堂内は、中央奥に三江紹益像、向かって右に高台院の兄・木下家定とその妻・雲照院の像、左に高台寺の普請に尽力した堀直政の像を安置しています。この堂の天井は豊臣秀吉の御座舟の天井と、高台院の御所車の天井を用いたものといいます。天井画の「龍図」は狩野山楽の作です。 『庭園（国指定史跡・名勝）』は、小堀遠州作とされ、シダレザクラと萩の名所です。石組みの見事さは桃山時代を代表する庭園として知られます。 『観月台（重要文化財）』は、慶長年間（1596〜1615年）に高台院により伏見城から移築されたもので、豊臣秀吉遺愛の建物といいます。 解体された北書院と開山堂を結ぶ屋根つきの楼船廊の途中にある小規模な建築で、偃月池に掛かかります。ここから高台院は亡き秀吉を偲びながら月を眺めたといいます。 『霊屋（おたまや：国重要文化財）』は、慶長10年（1605年）に高台院により建立されました。 秀吉と高台院を祀っていて、秀吉の墓がある阿弥陀ヶ峰の豊国廟に向けて建てられています。 開山堂の東方、一段高くなった敷地に建つ宝形造檜皮葺きの堂で、内部は中央の厨子に大随求菩薩（だいずいぐぼさつ）像を安置し、向かって右の厨子には豊臣秀吉の坐像、左の厨子には正室・高台院の片膝立の木像がそれぞれ安置されています。 狩野永徳による絵のほか、厨子の扉には秋草、松竹など、須弥壇には楽器などの蒔絵が施されていて、厨子の目立たぬところに蒔絵の作者の名が線描きされておりその点でも貴重です。 寺に所蔵される高台院所用と伝える調度品類にも同じ様式の蒔絵が施され、これらを高台寺蒔絵と称しています。高台寺蒔絵の特色は、金の平蒔絵（文様部分の漆を盛り上げずに、平滑に仕上げたもの）を主体に秋草などの絵画的な文様を描くことです。なお、高台院は自身の像の約2m地下に葬られています。 『茶室「傘亭」（からかさてい：国重要文化財）』は、もとは安閑窟（あんかんくつ）と呼ばれていましたが、慶長年間（1596〜1615年）に高台院により伏見城から移築されたものとされ、千利休好み（＝「利休作」の意）の茶室と伝えられています（ただし伏見城築城は利休の自刃後）。 境内東奥の小高い場所に位置し、宝形造茅葺きの建物で、竹垂木と竹木舞で組まれた化粧屋根裏が放射状になっており傘を広げたようであることからこの名があります。 『茶室「時雨亭」（国重要文化財）』は、傘亭と同様に慶長年間（1596〜1615年）に高台院により伏見城から移築されたものとされ、これも千利休好みと伝えられています。 時雨亭の名は傘亭に因むとされ、もとは傘亭に当てられた「安閑窟」の呼称しかなかったとされます。 傘亭の南隣にあり、傘亭とは土間廊下で繋がれています。 珍しい2階建ての茶室で、2階南側の上段の間は柱間に壁や建具を設けない吹き放しとします。高台院は慶長20年（1615年）の大坂夏の陣の際、2階から燃え落ちる大坂城の天守を見つめていたといいます。 『土間廊下（国重要文化財）』は、茶室「傘亭」と茶室「時雨亭」を繋ぐ屋根付きの廊下です。 慶長年間（1596〜1615年）に高台院により両茶室が現在地に移築された時に付加されたもので、両茶室はもともと別々に建てられていたと考えられています。 臨済宗（りんざいしゅう）は、中国の禅宗五家（臨済・潙仰・曹洞・雲門・法眼）の一つで、宋代の中国に喫茶とともに渡り学んだ栄西（1141〜1215年）らによって、鎌倉時代初期以降に日本に伝えられ、様々な流派が成立しました。栄西が伝えたのは黄龍派の教えですが、俊芿（1166〜1227年）が伝えた楊岐派の教えは、禅宗24流のうち20流をまでを占めるまでになりました。なお、江戸時代に伝わった黄檗宗も元来、中国臨済宗の一派です。から弟子への悟りの伝達を重んじます。 臨済宗建仁寺派（りんざいしゅうけんにんじは）は、臨済宗の14の宗派の一つで、京都に大本山である建仁寺を置きます。 建仁2年（1202年）に臨済宗の宗祖である栄西（えいさい）が鎌倉幕府第2代将軍の源頼家の支援を受けて創建した京都最古の禅寺であり、日本に禅宗を広めた重要な寺院です。

京都の東山にある高台寺を訪れましたが、本当に心が洗われるような時間を過ごせました。歴史あるお寺でありながら、どこを歩いても美しい景色に包まれています。特に臥龍池に映る景色と、竹林の小径を歩く瞬間はまるで別世界のようで、息をのむほど感動しました。静かで落ち着いた空気の中で、日常を忘れてゆったりと過ごせます。季節ごとに姿を変える庭園や、ライトアップ時の幻想的な雰囲気も魅力で、京都旅行の思い出に残る場所でした。写真好きや癒やしを求める方には特におすすめです！

七夕夜間拝観で訪れました。 人が多すぎず、静かで落ち着いた雰囲気を纏った場所でした。 夜の京都にゆったりと想いを馳せられる素敵な空間です。 夜間拝観時間は17:00~21:30(受付終了) 拝観料は¥600 ちょっとした屋敷内の観覧と広大なお庭が見られます。起伏があるため足が不自由な方は少し大変かもしれませんが、竹林や当時のままの木造建築など魅力たっぷりです。 門に至る情緒ある台所坂は他にない趣があります。

いつ伺っても良いお寺ですが、お茶会の時は特に素敵です。敷居の高いお茶会ではなく、外国人の方も参加するような気楽な会ですが、お道具とかもきちんとしていて、風情があります。英語がお上手な和尚様が、外国のお客様にそっと通訳されている様子も、素敵な感じでした。